タンク洗浄とスロプ処理の手順

タンク洗浄とスロプ処理の手順

目次：

1. 準備 1.1 タンク洗浄作業の計画 1.2 タンク洗浄前の準備 1.3 タンク洗浄のための水の取り込み 1.4 タンク洗浄の開始

2. オープンサイクルの水洗と閉じたサイクルの水洗 2.1 オープンサイクルの水洗 2.2 閉じたサイクルの水洗 2.3 石炭の洗浄における特徴

3. ガスフリング 3.1 無毒化のためのガスフリング手順 3.2 タンクへの進入のためのガスフリング 3.3 ガスフリング後の安全対策

4. スロプタンクの処理 4.1 スロプタンクの目的 4.2 スロプタンクのデカンテーション 4.3 スロプタンクからのオイルの計量

5. オイルの密度の測定 5.1 スロプタンク内の異なる種類の原油の混合物の密度測定 5.2 オイルの量の測定

6. スロプオイルの処分 6.1 スロプオイルの処分に伴う損失の可能性 6.2 スロプオイルの保持方法

1. 準備

1.1 タンク洗浄作業の計画

タンク洗浄作業を安全に行うためには、十分な計画が必要です。各ステージの時間や各タンクとラインの洗浄の位置、タンク洗浄とタンク洗浄の溜め水の廃棄物の海中への廃棄など、計画は詳細で具体的でなければなりません。また、作業員の安全を確保するために、キーアイテムの割り当てや休息時間のローテーションも考慮されるべきです。

1.2 タンク洗浄前の準備

タンク洗浄を行う前に、船の位置、パイプラインとタンク底のフリーオイル、タンク内の大気の状態を確認する必要があります。特に、タンク洗浄の準備においては、タンク内の酸素濃度やオイルの状態を正確に把握することが重要です。これにより、洗浄の安全性が確保されます。

1.3 タンク洗浄のための水の取り込み

タンク洗浄には大量の水が必要です。安全に水を取り込むためには、適切な設備と手順を用いる必要があります。水の取り込み時には特に注意が必要であり、火花の発生を防ぐためにスタティック電気のリスクにも留意する必要があります。

1.4 タンク洗浄の開始

タンク洗浄の開始時には、洗浄作業を行うためのポンプやバルブの適切な設定が必要です。洗浄作業を正しく行うためには、適切な手順や装置のマニュアルに基づいて作業を行い、タンクが完全にきれいになるまで洗浄を続ける必要があります。また、洗浄作業中のラジオ通信の確保やデッキログブックへの作業内容の記録も重要です。

2. オープンサイクルの水洗と閉じたサイクルの水洗

2.1 オープンサイクルの水洗

オープンサイクルの水洗は、タンク内の汚れを洗い流すために外部からの水を使用する方法です。汚れを洗い流す際には、適切なポンプとラインを使用し、洗浄が効果的に行われるようにします。オープンサイクルの水洗は一般的に使用される方法であり、効果的な洗浄が行われることが期待されます。

2.2 閉じたサイクルの水洗

閉じたサイクルの水洗は、熱水洗浄が必要な場合に使用される方法です。高いワックス含有量の貨物など、特定の条件下で洗浄が必要な場合には、閉じたサイクルの水洗が適切です。この方法では、水をスロップタンクから取り入れ、再利用することで、洗浄に使用する水の量を制限し、燃料の節約を図ることができます。

2.3 石炭の洗浄における特徴

石炭の洗浄には特別な注意が必要です。水の使用量が大きいため、燃料の浪費を避けるために閉じたサイクルの水洗を行うことが推奨されます。また、石炭の洗浄ではオープンサイクルよりも注意が必要であり、洗浄中に発生する火花のリスクに留意する必要があります。

3. ガスフリング

3.1 無毒化のためのガスフリング手順

タンクのガスフリングは、安全な状態を確保するために行われます。ガスフリングの手順には、タンク内の酸素濃度の測定、ガスフリングのための適切な開口部の設定、およびタンクのガスフリングによる換気が含まれます。ガスフリングは、タンク内の有害なガスや蒸気を除去し、安全な状態にするために不可欠な手順です。

3.2 タンクへの進入のためのガスフリング

タンクへの進入のためには、ガスフリングが十分な状態になっていることが重要です。タンク内のガスフリングには、インターロックシステムやガスフリングポンプ、適切な通風装置などが使用されます。ガスフリングが完了し、タンク内の環境が安全な状態になっていることを確認した後に、作業員がタンクに進入することができます。

3.3 ガスフリング後の安全対策

ガスフリングの後は、安全対策を十分に考慮する必要があります。タンク内には作業員がいる可能性があるため、タンクへのアクセスを制限し、通信手段を確保することが重要です。また、作業の記録や報告書の作成もおこない、作業が適切に終了したことを確認する必要があります。

4. スロプタンクの処理

4.1 スロプタンクの目的

スロプタンクは、タンク洗浄および貨物の取り扱い後の廃棄物の貯蔵に使用されます。スロプタンクには水とオイルが含まれており、これらの成分を適切に処理する必要があります。スロプタンクの処理には、水の除去およびオイルの計量が含まれます。

4.2 スロプタンクのデカンテーション

スロプタンクから水を除去するためには、デカンテーションが行われます。デカンテーションは、水とオイルの分離を実現するための重要な手順です。デカンテーション後、オイルの量を正確に測定し、適切な処理を行うことが重要です。

4.3 スロプタンクからのオイルの計量

スロプタンクからのオイルの計量は、船主やチャーターとの間で行われる交渉に影響を与える可能性があります。異なる種類の原油が混合されたスロプタンクの場合、各原油の密度を測定し、総体的な密度を算出することが重要です。これにより、スロプタンク内のオイルの価値や量を正確に評価することができます。

5. オイルの密度の測定

5.1 スロプタンク内の異なる種類の原油の混合物の密度測定

スロプタンク内のオイルの混合物の密度を測定するためには、適切な手順と装置を使用する必要があります。試料を取得し、水中に浮かべた際のハイドロメーターの浮力を測定することで、密度を算出することができます。これにより、スロプタンク内のオイルの特性を評価し、その後の取り扱いについての意思決定を行うことができます。

5.2 オイルの量の測定

スロプタンク内のオイルの量を測定するためには、容積、温度、および密度の値を使用します。これらの値を計測し、ASTMの表を使用して、タンク内のオイルの量を算出することができます。測定には、適切な測定器具とテープメジャーが使用されます。温度と密度の値は、測定器具によって正確に読み取ることができます。

6. スロプオイルの処分

6.1 スロプオイルの処分に伴う損失の可能性

スロプオイルの処分には、船主やチャーターに費用が発生する可能性があります。スロプオイルには商業的な価値がないため、船主はスロプオイルの処分に対して費用が発生します。また、スロプオイルを貯蔵しておくことで、将来の貨物に組み入れることができる場合、船主にとっては経済的な利益が生じる場合もあります。

6.2 スロプオイルの保持方法

スロプオイルを船上に保持するかどうかは、船主やチャーターの判断によります。貨物の特性や次の航海での使用予定によって異なる判断がされることがあります。スロプオイルを船上に保持する場合、適切な処理や貯蔵方法を確保することが重要です。一方、スロプオイルを船外に排出する場合には、必要な手続きや規制に従う必要があります。

以上が、タンカーのタンク洗浄に関する詳細な手順と注意事項です。安全な作業を行うためには、適切な計画、手順、装置の使用が必要です。また、環境への配慮や貨物の管理も重要な要素です。船主やチャーターとの連絡と相談も必要です。

FAQ：

Q: タンク洗浄にはどのくらいの時間が必要ですか？ A: タンク洗浄には様々な要素により時間が異なります。一般的には数日から数週間かかることがあります。

Q: タンク洗浄中に使用する水の量はどれくらいですか？ A: タンク洗浄には大量の水が必要です。具体的な量は洗浄の規模や目的により異なりますが、数百から数千トンの水が使用されることがあります。

Q: スロプオイルの処分にはどのような方法がありますか？ A: スロプオイルの処分方法は、船主やチャーターの要件により異なります。一般的な方法には、スロプオイルの貯蔵、販売、または適切な施設での処分があります。

参考資料：

• IMOの公式ウェブサイト（https://www.imo.org/）
• Clean Seas Guide for Oil Tankers